憲法記念日にあたっての党談話
2025年5月3日
社会進歩党代表
鈴木しんじ
日本国憲法が施行されてから、本日で78年目を迎えました。戦後70年を超えた今も、「基本的人権の尊重」、「国民主権」、「平和主義」という日本国憲法の三大基本原理は、日本の平和と発展を支える礎であり続けています。
しかし、国際情勢や社会環境は日々変化しており、憲法制定当時の状況とは大きく様変わりしています。近年、ウクライナ戦争や台湾情勢の緊迫化など、国際社会はかつてないほど厳しい局面に直面しています。さらに、今年誕生したアメリカのトランプ政権は、国内外に対して権威主義的・帝国主義的な言動を続け、歴代政権が自負してきた「自由主義国家の盟主」としての役割を完全に放棄してしまったと言えます。特にNATOに対しては攻撃的な態度を示し、脱退の可能性を示唆するなど、国際秩序を揺るがしています。トランプ氏は日本に対しても、「日本にはアメリカを守る義務がない」と繰り返し不満を述べ、日米安保条約に関してもその意義を問う姿勢を取っています。こうした孤立主義的な姿勢を踏まえれば、仮に日本がロシア、中国、北朝鮮などから攻撃を受けた場合、アメリカが本当に日本を守るのかは大いに疑問です。我々はアメリカに依存しない形で、自国を守るための体制に変革していく必要があります。
一方、日本国内においても、人口減少、性的平等の実現、格差の拡大、そしてAI技術の急速な進展など、さまざまな課題が山積しています。これらの課題を迅速かつ効果的に解決するためには、政治主導による大胆な改革が不可欠ですが、現行憲法に基づく議院内閣制や現行の選挙制度はもはや時代にそぐわないものとなっています。したがって、より合理的で効率的な政治システムへの改革が求められています。
社会進歩党は、こうした時代の変化を踏まえ、日本国憲法の抜本的な改正が必要だと考えます。具体的には、以下の項目について改正が必要であると強く訴えます。
- 日本型大統領制の導入
国民が直接選ぶ最高権力者としての大統領制を、象徴天皇制と共存させる形で導入することにより、政治の安定化と民意のより的確な反映、そして意思決定の迅速化を目指すべきです。 - 持続可能で公正な社会の実現
環境権やプライバシー権、同性婚の憲法上での明記、そして憲法裁判所の創設などを進めることで、より公正で持続可能な社会を実現し、国民一人ひとりの権利を守る体制を築くべきだと考えます。特にSDGs(持続可能な開発目標)の理念に基づき、環境と社会的な公正を両立させることが重要です。 - 州制度の導入による大胆な地方分権の推進
中央集権的な国家体制を打破し、地方自治体の権限強化を図る一方で、国家全体のナショナル・ミニマムを維持するために、州政府の導入と中央政府と州政府の役割分担を憲法に明記する必要があります。このように、地方と中央が協力し合いながら効率的に運営される国家を目指します。 - 自衛隊の「防衛機構」への改称と憲法上の明記
自衛隊は日本の領土保全と災害救助において重要な役割を果たしており、その規模や役割が「隊」と呼ぶには不相応なほど拡大しています。これを踏まえて、自衛隊を「防衛機構」と改称し、その存在と役割を憲法に明記することで、より適切な形での防衛体制を確立すべきです。この上で、アメリカに依存しない独立した防衛体制を整備していかなければなりません。 - 集団的自衛権の行使と制限
集団的自衛権の行使についても、現行憲法の制約のもとでは行使できない現状に対して、憲法9条の改正と安保法改正を同時に進めるべきだと考えます。これにより、国連や民主主義国家間で結成される国際的な防衛同盟の枠組みの下で、日本が一定の集団的自衛権を行使することができるようにするべきです。 - サイバー空間における個人の尊厳の保障
デジタル・プラットフォームの影響力の増大や、AI技術の急速な発展、インターネット上での誹謗中傷や虚偽情報の拡散といった問題に対応するために、サイバー空間での個人の権利、自由、プライバシーをしっかりと保護しつつ、公共の安全と秩序を維持するための法整備が必要です。
社会進歩党は、これらの改革を進めるために、今年度中に関係政治団体と協力しながら最終的な憲法改正案を公表し、国民の皆様とともに議論を深めていきたいと考えています。これまで進めてきた党の政策調査会では、憲法草案の第一案を公開しましたが、今後、より具体的な案を示し、より良い未来を築くための一歩を踏み出す所存です。社会進歩党は、より公正で持続可能な日本と世界を実現するために、具体的かつ実現可能な政策に取り組んでいきます。これに向けて、党へのご支援を賜りますようお願い申し上げます。