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終戦80周年にあたって【党談話】

終戦80周年にあたって

 

本日、私たちは戦後80年という大きな節目を迎えました。先の大戦において、かけがえのない命を奪われたすべての方々に深く哀悼の意を表します。空襲や原爆投下、沖縄戦で亡くなられた方々、戦場で散った兵士、そして日本の侵略と植民地支配によって甚大な苦しみと犠牲を強いられたアジア諸国の人々の御前に、私たちは静かに頭を垂れます。我が党は、日本がかつて犯した過ちに対し、改めて痛切な反省と心からのお詫びを表明いたします。

戦争の惨禍を二度と繰り返さない。この決意を胸に、日本は80年間、日本国憲法の下で平和国家としての道を歩んできました。この平和は、先人たちの血と涙の上に築かれた、何物にも代えがたい私たちの誇りであり、宝です。

しかし、この80年目の夏、私たちの誓いは、かつてなく厳しい現実に直面しています。世界を見渡せば、力による一方的な現状変更の試みや、人間の尊厳を踏みにじる非道な行為が後を絶ちません。「戦争をしない、させない」という私たちの誓いは、もはや過去を振り返るだけの受動的な記憶であってはなりません。それは、今まさに平和を脅かす挑戦に立ち向かい、法の支配と正義を守るための「能動的な責任」でなければならないのです。

ウクライナでは、ロシアによる侵略が3年以上の長きにわたり、その蛮行は激化の一途をたどっています。これは主権と領土の一体性を蹂躙する、国連憲章への明白な挑戦です。病院やエネルギー施設といった民生インフラへの意図的な攻撃、捕虜の処刑といった戦争犯罪は、信頼できる国際機関によって繰り返し記録されています。さらに深刻なのは、一国の歴史と主権そのものを否定する思想に基づき、その存在を地上から抹消しようとする試みです。これは、私たちが80年前に決別を誓ったはずの、力こそが正義とする帝国主義的思考そのものであり、断じて容認できません。

中東のガザ地区では、前例のない人道的大惨事が今この瞬間も進行しています。医療システムは崩壊し、飢餓が戦争の手段として用いられています。食料を求める罪なき市民、とりわけ子どもたちが銃撃され命を落とす現実は、目を覆うばかりです。この事態に対し、国際司法裁判所(ICJ)がジェノサイド条約違反の「もっともらしいリスク」を認定し、国際刑事裁判所(ICC)がネタニヤフ首相をはじめとするイスラエル指導者に戦争犯罪等の容疑で逮捕状を発付した事実を、私たちは極めて重く受け止めます。国際法は、いかなる国も、いかなる理由があろうとも、選択的に遵守してよいものではありません。法の支配を無視する国家に、平和を語る資格はありません。

唯一の戦争被爆国として、そして戦後の荒廃から立ち上がった国として、日本は、世界のいかなる場所における非人道的な行為に対しても、最も厳しい声を上げる道義的責任を負っています。しかし、足元を見れば、我が国の平和主義と立憲主義もまた、深刻な危機に瀕しています。

近年、安全保障環境の変化を理由に、敵基地攻撃能力の保有や防衛費の大幅増額といった政策が、十分な国民的議論なく進められてきました。憲法9条の条文を素直に読めば、こうした動きが認められないことは明らかです。政府の解釈一つで憲法の意味をねじ曲げ、なし崩し的に軍備を拡大する手法は、法の支配を根底から破壊しかねません。憲法の条文と現実が乖離し続ける現状を放置することは、立憲主義の危機に他なりません。

この危機に対し、社会進歩党は、現行憲法の平和主義の精神を断固として守りつつ、時代の要請に応えるための、進歩的で合理的な憲法改正を真正面から議論すべきだと考えます。日本が再び侵略戦争の過ちを犯さず、民主主義国家間の集団安全保障体制の中で適切な貢献を果たすために、主権者たる国民的議論を通じて、憲法の条文と現実を一致させねばなりません。

そのために、我が党は一昨年、新憲法草案(第一次案)を発表しました。この草案は、権力の暴走や解釈改憲を抑止するための強力な憲法裁判所の設立、自衛隊を「防衛機構」へと改め、その役割と行動に厳格な制限を課すことなどを柱としています。私たちは現在、この草案をさらに練り上げており、今年秋には最終案として公表いたします。

終戦80年にあたり、社会進歩党は、日本国憲法が掲げる恒久平和主義の理念を、今こそ国内外の現実の中で実践していく決意を新たにします。私たちは、武力ではなく対話と外交を、憎悪の連鎖ではなく人間の尊厳を、そして一部の国の横暴ではなく万民のための法の支配を、断固として求め続けます。戦争の記憶を風化させることなく、次の世代へと語り継ぎ、世界の平和と正義の実現のために、あらゆる努力を尽くすことを、ここに改めてお誓い申し上げます。

 

2025年8月15日
社会進歩党代表
鈴木しんじ





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